2012年8月18日土曜日

三つ子の魂

敬愛する先輩にランチをごちそうになった。その際私のカメラマンとしてのルーツをお話しすることになり、自分としても今までの歩みを振り返る機会となった。今一度ここでも振り返っておこうと思う。

宮古高校時代、合唱部と写真部に在籍していたおふくろは、社会人になってからも写真をを趣味としていたようだが、私が中学に入る頃にはカメラを持つことは減っていたと思う。
そんなおふくろからキヤノンのAE-1をぶんどったのはやはり中学に入って間もない頃だった。優秀なカメラだったが、レンズは50mmの単焦点一本。しかも絞りが1.8の開放で固まったままだった。知識のある人には解ってもらえると思うが、このレンズで日中の写真は撮ることができない。明るすぎるからだ。したがって私が写真を撮るのは決まって夕方以降、もしくは雨の日など光線の少ない日ということになる。それでも変わった被写体を見つけてはシャッターを切り、上がってきたプリントを眺めては悦に入っていたのだ。
いずれ、そんな標準レンズ+開放シバリで私のカメラマン人生が始まったのである。

数年前のblogで私は自らを「黄昏写真家」と呼んでいた。そして現在も夕景を好んで撮っている。しかも常用しているレンズは35mmの単焦点。APS-Cセンサで1.5倍となるため、事実上50mmのレンズということになる。さらには浅い被写界深度が描く前ボケ後ろボケ写真好き。
これは取りも直さず中学時代のままということではないか。これがいいのか悪いのかは解らないが、いずれあの中学時代の気持ちよさを今日までひきずっていることは確かだ。

ランチを食べ終えた先輩が「二三週間使ってみて」と私の目の前に一本のレンズを置いた。
14mmF2.8単焦点。超広角と言われる高級レンズだった。
私は超広角に対して超望遠の何十倍も魅力を感じているが、それはとても手の出せる世界ではなく、憧れることはあっても買おうと思ったことはない。
保護フィルタをつけることができない形状、せり出した前玉がひたすら恐ろしいが、大切に扱うことを約束し、先輩の行為に甘えることにした。

一枚目は友人を撮ったが、それは私と友人だけでしまっておくことにした。広角ならではのデフォルメは想像以上の破壊力だったからだ。
その足で風景をさがしてまわった。パースペクティブとデフォルメを切り取りたくて。

なかなかいい題材を見つけられずにいたが、まわりが夕焼けに変わるころホテルの屋上でこの景色に出会うことができた。
煙突的には日の丸構図だが、14mmを思えば寄せなくて正解だったと思う。
f/22-10秒-ISO100だが、おそらくf/16くらいのほうが空の色のためにはよかったかもしれない。そして、フルサイズだったなら、と思わずにいられなかった。

しばらくの間、この新しい世界におぼれられることが幸せである。
齋藤祐一先生、ありがとうございました。

以上、いつにも増して超マニアックな話題でした。

2 件のコメント:

  1. 超すてき☆フィッシュアイならではの雲!!サイコウ!

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    1. よいレンズはよいですね。レンズに撮影欲を刺激されて足が動くというのもまた
      いいものだ。

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