2012年7月6日金曜日

一コマ。

昨日午後に降りだした強い雨は黄昏の時刻をもって小降りとなった。
厚い雲がゆるると切れ間をつくり、町はにわかの夕映えでオレンジ色に染まった。

西の山に沈もうとする落陽が海に架ける特大の虹。
十五分だけ現れた七色の残照。


「10秒早くても遅くても出会えなかった」
「この瞬間にかまえていたから切り取れた」
写真を撮っているとそう感じることがしばしばある。

夕日に向かって車を走らせていた18:30。雨が小降りになり、明るい夕日が山の上にあった。
もしやと振り返ったらやはり虹が架かっていた。それも特大の。
この一瞬を写真に収めたくて、踵を返し海へむかうことにした。タイヤに踵はないけれど。
グレー、ブルー、ベージュ。複雑に混ざる空色に浮かぶ鮮やかな虹は分毎に薄れてゆく。
愛宕の水門をくぐった時には、もうほとんど消えかかっていた。きっとCPLをかませたところでまともには写らないだろう。
車を停めて窓を開ける。湿った海の風が車内に流れ込む。
消えてゆく虹を二つの目でしっかりと見とどけた。

止まない雨はない。
雨の後には虹も架かる。

写真には残らなくても、記憶には残る黄昏の一コマだった。


とかなんとかいいながら、やっぱり悔しくて。そんな気持ちでシャッターを切るのであった。

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